美容師の新卒求人票には、給与、休日、勤務時間、教育制度、社会保険など、就職先を選ぶための大切な情報が掲載されています。
しかし、求人票に書かれた月給や休日数だけを見て応募先を決めると、入社後に「想像していた働き方と違った」と感じる可能性があります。
特に美容室の求人票では、次のような点に注意が必要です。
- 月給に固定残業代が含まれている
- 基本給と手当の内訳が分かりにくい
- 営業時間と実際の勤務時間が異なる
- 週休2日制と完全週休2日制の違いが分かりにくい
- 教育カリキュラムの具体的な内容が書かれていない
- スタイリストデビューまでの条件が分からない
- 試用期間中だけ給与や待遇が異なる
求人票は、給与の高低だけを比べるものではありません。
入社後にどのように働き、学び、成長していくのかを確認するための資料です。
この記事では、美容学生が新卒求人票を見るときに確認したい給与、休日、固定残業代、勤務時間、教育制度などのポイントを順番に解説します。
美容師の新卒求人票で最初に確認すること
求人票を受け取ったら、最初に次の項目が掲載されているか確認しましょう。
- 雇用形態
- 仕事内容
- 勤務地
- 勤務時間
- 休憩時間
- 休日
- 給与
- 固定残業代
- 各種手当
- 試用期間
- 社会保険
- 教育制度
- 応募条件
- 選考方法
一つひとつの項目が書かれていても、内容が曖昧な場合があります。
分からない内容を自分の判断だけで解釈せず、サロン見学、会社説明会、面接などで確認することが大切です。
求人票と労働条件通知書の違い
求人票は、応募者に向けて募集条件を示すための資料です。
一方、労働条件通知書や雇用契約書は、実際に入社するときの労働条件を確認するための書類です。
採用が決まったら、求人票の内容だけで判断せず、労働条件通知書や雇用契約書で次の内容を確認してください。
- 契約期間
- 就業場所
- 業務内容
- 勤務時間
- 休憩時間
- 休日
- 給与の計算方法
- 給与の支払日
- 退職に関する事項
- 試用期間中の条件
求人票、会社説明会、面接、労働条件通知書で説明が異なる場合は、入社前に確認しましょう。
月給の合計額だけで判断しない
求人票に「月給23万円」と書かれていても、23万円すべてが基本給とは限りません。
月給には、次のような手当が含まれている場合があります。
- 基本給
- 固定残業代
- 皆勤手当
- 技術手当
- 店販手当
- 住宅手当
- 交通費
- 調整手当
- 職務手当
例えば、次のような給与表示が考えられます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 基本給 | 200,000円 |
| 固定残業代 | 30,000円 |
| 月給合計 | 230,000円 |
この場合、基本給は23万円ではなく20万円です。
求人票を見るときは、月給の合計だけでなく、次の内容を確認してください。
- 基本給はいくらか
- 毎月必ず支給される手当はどれか
- 条件を満たした場合だけ支給される手当はどれか
- 固定残業代が含まれているか
- 交通費は月給とは別に支給されるか
固定残業代とは
固定残業代とは、一定時間分の時間外労働などに対する割増賃金を、あらかじめ定額で支給する仕組みです。
求人票では、固定残業代が次のような名称で記載される場合があります。
- 固定残業手当
- 時間外手当
- 業務手当
- 職務手当
- みなし残業代
名称だけでは判断できないため、その手当が何に対して支給されるものなのかを確認しましょう。
固定残業代で確認する3項目
固定残業代が含まれている場合は、最低限、次の3項目を確認します。
- 固定残業代を除いた基本給の金額
- 何時間分の固定残業代なのか
- 固定時間を超えた場合に追加の残業代が支給されるか
例えば、次のように書かれていれば、内訳を確認できます。
基本給200,000円
固定残業代30,000円(時間外労働20時間分)
20時間を超えた時間外労働分は追加で支給
反対に、次のような表示だけでは詳細が分かりません。
月給230,000円(残業代を含む)
この場合は、基本給、固定残業時間、固定残業代の金額、超過分の取り扱いを確認してください。
固定残業時間まで必ず残業するという意味ではない
固定残業代が20時間分含まれていても、毎月必ず20時間残業しなければならないという意味ではありません。
重要なのは、求人票上の時間数だけでなく、実際の平均残業時間や退勤時間を確認することです。
サロン見学では、次のように質問しましょう。
- アシスタントの平均的な残業時間はどのくらいですか?
- 通常は何時頃に退勤していますか?
- 営業後の練習時間は残業時間に含まれますか?
- 固定残業時間を超えた場合はどのように計算されますか?
基本給を確認する理由
月給が高く見えても、固定残業代や条件付きの手当が多く含まれている場合があります。
求人票を比較するときは、月給総額だけでなく、基本給を並べて確認しましょう。
| 求人例 | 月給 | 基本給 | 固定残業代 |
|---|---|---|---|
| Aサロン | 230,000円 | 200,000円 | 30,000円 |
| Bサロン | 225,000円 | 215,000円 | 10,000円 |
月給だけを見るとAサロンの方が高く見えますが、基本給はBサロンの方が高い例です。
給与を比較するときは、次の項目を分けて記録してください。
- 基本給
- 固定残業代
- 毎月支給される手当
- 条件付きの手当
- 交通費
- 歩合給
- 店販売上に対する手当
各種手当の支給条件を確認する
求人票に多数の手当が書かれていても、全員が毎月受け取れるとは限りません。
皆勤手当
遅刻、早退、欠勤などがある場合に支給されない可能性があります。支給条件と金額を確認しましょう。
住宅手当
一人暮らし、本人名義の賃貸契約、勤務店舗からの距離など、支給条件が設定されている場合があります。
交通費
全額支給なのか、月額上限があるのかを確認します。店舗異動がある美容室では、異動後の交通費も確認しておきましょう。
技術手当
シャンプー、カラー、ブローなど、技術試験への合格によって支給されることがあります。
どの技術に合格すると、いつから、いくら支給されるのか確認してください。
店販手当
シャンプーやトリートメントなどの商品販売額に応じて支給される手当です。
売上に対する割合、支給条件、個人目標の有無を確認しましょう。
賞与の「あり」だけで判断しない
求人票に「賞与あり」と書かれていても、支給額や支給回数が確定しているとは限りません。
次の項目を確認しましょう。
- 年に何回支給されるか
- 前年度の支給実績
- 入社初年度も対象になるか
- 業績によって支給されない場合があるか
- 査定基準は何か
賞与の有無だけでなく、実際の支給実績を確認することが大切です。
昇給の時期と基準を確認する
「随時昇給」「技術習得に応じて昇給」と書かれていても、具体的な条件が分からない場合があります。
次のように質問してください。
- 昇給の時期はいつですか?
- 年に何回評価がありますか?
- 技術試験に合格すると給与はいくら上がりますか?
- 勤続年数による昇給はありますか?
- 評価する人は誰ですか?
評価基準が明確であれば、入社後の目標を立てやすくなります。
試用期間中の給与と待遇を確認する
美容室によっては、入社後に試用期間が設定されています。
試用期間がある場合は、次の内容を確認してください。
- 試用期間の長さ
- 試用期間中の基本給
- 手当の有無
- 交通費
- 勤務時間
- 休日
- 社会保険の加入時期
- 本採用となる条件
求人票に書かれた月給が、本採用後の金額である場合もあります。
入社直後から同じ条件なのか、試用期間中だけ条件が異なるのかを確認しましょう。
勤務時間は営業時間だけで判断しない
美容室の営業時間と、スタッフの勤務時間は同じとは限りません。
営業開始前には、次のような業務が行われる場合があります。
- 店内清掃
- 朝礼
- 予約確認
- タオルや薬剤の準備
- 技術練習
営業終了後にも、次のような業務が行われることがあります。
- 清掃
- レジ締め
- 終礼
- ミーティング
- SNS投稿
- 技術練習
- モデル施術
求人票では、次の項目を確認してください。
- 始業時刻
- 終業時刻
- 休憩時間
- シフト制か
- 早番や遅番があるか
- 平均的な退勤時間
休憩時間の取り方を確認する
求人票に休憩時間が書かれていても、実際にどのように取得するかは美容室によって異なります。
サロン見学では、次の点を確認しましょう。
- 決まった時間に休憩するか
- 予約状況に合わせて交代で休憩するか
- 昼食を取る場所があるか
- 忙しい日も休憩を確保できるか
「週休2日制」と「完全週休2日制」を確認する
「週休2日制」と「完全週休2日制」は、同じ意味とは限りません。
求人票の表現だけで判断せず、実際に月何日休めるのかを確認してください。
休日については、次の項目を確認します。
- 月間休日数
- 毎週2日休めるか
- 定休日とシフト休の組み合わせ
- 希望休を出せるか
- 土日祝日に休めるか
- 連休を取得できるか
- 休日に講習や練習があるか
年間休日の内訳を確認する
年間休日数を見るときは、合計日数だけでなく、何が含まれているかを確認しましょう。
- 定休日
- シフト休
- 夏季休暇
- 冬季休暇
- 年末年始休暇
- 慶弔休暇
- 有給休暇
「年間休日」と書かれた数字に、有給休暇を含めて説明しているかどうかも確認してください。
有給休暇の取得状況を確認する
有給休暇は、制度があることだけでなく、実際に取得できる環境かどうかが重要です。
可能であれば、次の内容を確認しましょう。
- 新卒スタッフの取得実績
- 平均取得日数
- 希望日に申請できるか
- 連休として取得できるか
- 繁忙期の取得ルール
聞きにくい場合は、次のように質問すると自然です。
スタッフの皆さんは、有給休暇をどのように利用されていますか?
社会保険の内容と加入時期を確認する
「社会保険完備」と書かれている場合でも、加入する保険と加入時期を確認しましょう。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労災保険
特に確認したいのは、入社日から加入するのか、試用期間終了後に加入するのかという点です。
雇用形態や勤務条件によって取り扱いが異なる場合があるため、自分がどの保険の対象になるのかを書面で確認しましょう。
仕事内容の範囲を確認する
新卒アシスタントの仕事内容は、美容室によって異なります。
求人票に「美容業務全般」とだけ書かれている場合は、入社後に担当する仕事を具体的に確認してください。
- 受付
- 電話対応
- 清掃
- シャンプー
- カラー補助
- パーマ補助
- ドライ
- ヘッドスパ
- 商品販売
- SNS更新
- モデル集客
入社直後から担当する仕事と、技術試験合格後に担当する仕事を分けて確認しましょう。
教育制度は具体的な内容を見る
「充実した教育制度」「早期デビュー可能」という言葉だけでは、実際の教育内容は分かりません。
確認したい項目は次のとおりです。
- 技術を学ぶ順番
- カリキュラム表の有無
- 練習日
- 練習時間
- 指導担当者
- 技術試験の頻度
- 合格基準
- モデル人数
- 平均デビュー期間
「最短1年でデビュー」と書かれている場合は、最短期間だけでなく、実際の平均期間を確認してください。
モデル集客の条件を確認する
カットモデルやカラーモデルを自分で集める美容室もあります。
次の内容を確認しましょう。
- モデルは自分で探すのか
- 必要なモデル人数
- SNSアカウントが必要か
- モデル募集サービスを使用するか
- 材料費を誰が負担するか
- 施術時間は勤務時間に含まれるか
- モデル集客の目標やノルマがあるか
配属店舗と異動の可能性を確認する
複数店舗を運営する美容室では、希望店舗へ必ず配属されるとは限りません。
- 希望店舗を選べるか
- 配属先が決まる時期
- 配属の判断基準
- 店舗異動の頻度
- 転居を伴う異動があるか
- 通勤時間への配慮があるか
勤務したい店舗が決まっている場合は、応募前に確認しておきましょう。
求人票で分からないことはサロン見学で確認する
求人票だけで、実際の職場環境をすべて把握することはできません。
求人票を読んで疑問に感じた内容をメモし、サロン見学で確認してください。
特に質問したい項目は次のとおりです。
- 平均的な出勤時間と退勤時間
- 営業後の練習頻度
- 固定残業時間を超えた場合の取り扱い
- 月間休日数
- 有給休暇の取得状況
- 試用期間中の給与
- 社会保険の加入時期
- 平均デビュー期間
- モデル集客の方法
- 配属店舗の決め方
求人票を比較するためのチェック表
複数の美容室を比較するときは、次の項目を一覧にしましょう。
| 確認項目 | Aサロン | Bサロン | Cサロン |
|---|---|---|---|
| 月給合計 | |||
| 基本給 | |||
| 固定残業代 | |||
| 固定残業時間 | |||
| 試用期間中の給与 | |||
| 交通費 | |||
| 月間休日数 | |||
| 平均退勤時間 | |||
| 社会保険加入時期 | |||
| 練習時間 | |||
| 平均デビュー期間 | |||
| モデル集客 |
給与が最も高い美容室が、自分に最も合う美容室とは限りません。
教育制度、休日、勤務時間、職場の雰囲気、将来のキャリアを含めて比較しましょう。
求人票だけで就職先を決めない
求人票では、制度や条件を確認できます。
しかし、実際のお客様への接客、スタッフ同士の連携、アシスタントの表情、営業中の空気感までは分かりません。
求人票で条件を確認した後は、サロン見学やお客様体験を通じて、実際の美容室を確認することが重要です。
求人票で条件を知り、サロン見学で制度を確認し、お客様体験で現場を知る。
複数の方法を組み合わせることで、就職後のミスマッチを防ぎやすくなります。
BEAUTY INSIGHTで応募前に美容室を知る
BEAUTY INSIGHT(ビューティーインサイト)は、美容学生が応募前に美容室をお客様として体験し、就職先選びや企業研究に活用できる体験型就職支援サービスです。
求人票やサロン見学だけでは分かりにくい、次のような内容をお客様の立場から確認できます。
- 予約対応
- 受付
- カウンセリング
- 技術
- 接客
- スタッフ同士の連携
- アシスタントの動き
- 営業中の空気感
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美容師の求人票に関するよくある質問
月給が高い美容室を選んだ方がよいですか?
月給総額だけでなく、基本給、固定残業代、各種手当、休日、勤務時間などを分けて比較してください。
月給が高くても、固定残業代や条件付きの手当が多く含まれている場合があります。
固定残業代がある美容室は避けるべきですか?
固定残業代があることだけで、良い美容室か悪い美容室かを判断することはできません。
基本給、固定残業時間、固定残業代の金額、超過分の追加支給、実際の残業時間を確認することが重要です。
給与や休日について質問すると印象が悪くなりますか?
入社後の働き方に関わる重要な内容です。求人票を確認したうえで、分からない点を具体的に質問することは問題ありません。
求人票と面接の説明が違う場合はどうすればよいですか?
どちらが正しい条件なのかを確認し、採用後は労働条件通知書や雇用契約書に記載された内容を入社前に確認してください。
求人票は何店舗分比較すればよいですか?
決まった数はありませんが、1店舗だけでは条件を比較しにくいため、複数の美容室を同じ項目で比較することをおすすめします。
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まとめ
美容師の新卒求人票では、月給の合計額だけでなく、その内訳を確認することが重要です。
特に確認したい項目は次のとおりです。
- 基本給
- 固定残業代
- 固定残業時間
- 各種手当の支給条件
- 試用期間中の給与
- 実際の勤務時間
- 月間休日数
- 有給休暇の取得状況
- 社会保険の加入時期
- 教育カリキュラム
- 平均デビュー期間
- モデル集客の方法
- 配属店舗
求人票は、美容室から選ばれるために読むものではありません。
美容学生自身が、安心して長く働ける美容室かどうかを判断するための資料です。
分からない内容を曖昧なままにせず、サロン見学、会社説明会、面接、労働条件通知書で確認し、納得したうえで応募先を選びましょう。
参考資料
BEAUTY INSIGHT(ビューティーインサイト)は、株式会社CAPが運営する美容学生向けの体験型企業研究・就職支援サービスです。